旅人
- 作者: 湯川 秀樹
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2011/01/25
- メディア: 文庫
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表題に目が留まったんだけれど、中身は物理学者・湯川秀樹の回顧録だった。
幼い頃に京都へ引っ越し、学者の父は子供たちも学者にしようと教育する。そして、その通りにエリートコースを進んでいくのも驚き。やっぱり環境なんだなぁ。京都の市電が走る古き街も、現在の様子と照らし合わせながら読み進めるのも面白かった。
初めは文学の道へ進もうとしていたのに、当時はまだ未知が多かった物理学に進んだのも何かの道しるべがあったのか。どんどん新しいことを学び、謎を解き、中間子理論を発表し、ノーベル賞を貰うまでに至るんだから、人間の道というものはわからないものだなぁと思った。
これを読んでいて、中学の頃を思い出してしまった。
中学の頃は集団イジメ最盛期でボロボロだったのに、帰宅して個々に会うとなぜだか普通に遊んでいた不思議な頃。図書館でいつも話す秀才Tがいた。中学生なのに、アインシュタインやブラックホールの話は完璧で、この本のように量子力学も話に出てきた。自分もビッグバンとか詳しく知りたかったから、話を真剣に聞き、紹介された本も読んでいた記憶がある。でも結局は内容が難しくて、やっぱり秀才にはかなわないとあきらめてしまったなぁ。
時々、あのままついて行ったらどうなってただろうと考える。まあ、挫折で終わったんだろうけれど…。