seigoy's diary

旅人間。山やスキー場、京都、アジア中心に彷徨ってます。それに伴って、カメラや車、パソコンが大好き。

潮騒

潮騒 (新潮文庫)

潮騒 (新潮文庫)


この本も以前から気になっていた小説。舞台は伊勢湾に浮かぶ島だし、三島由紀夫にしては異色を放つ恋愛小説だと聞いてたから。
読み始めると、戦後の小さな島の素朴な生活が伝わってくる。まるで情景が浮かぶように。日本の失われた生活、風景が見えたとさえ思った。
そしてそこに展開する恋愛が清々しくて、これが三島由紀夫の小説なのと思わせるほど素直で良かった。たまには素直に入り込める小説も気持ちがいい。
でも最後の文章には驚かされた。さすが三島由紀夫と言うべきか、すごいひねりで終わっている。この一文を書くがためにこの小説が存在したのかと思うくらい。何とも言えない後読感が漂っていた。