seigoy's diary

旅人間。山やスキー場、京都、アジア中心に彷徨ってます。それに伴って、カメラや車、パソコンが大好き。

ついにガンガーへ

寝台列車の朝はチャイの車内販売から始まる。「チャーイ、チャーイ。」という呼びかけは独特な節があって、なんかすごい旅情を感じた。かなり前にテレビでも見た事があったからかもしれない。
バラナシ近くのムガル・サラーイ駅には8時過ぎに到着した。駅に着いてもアナウンスがある訳じゃないからどこだかわからず、列車が遅れているから時間でも判断できない。同乗のインド人も分からなかったらしく、自分が駅の看板にムガル・サラーイという文字を見つけて飛び降りた。
ここからバラナシまではまだ距離があり列車とかバスで移動しようかなと思っていたところに、リキシャの客引きに声を掛けられた。昨日の夜からまともに食事していなかったから面倒臭くなり東京の子を巻き込んで乗ることにしたら、連れて行きたい宿があると言いだし断ると料金が上がっていく。またかよと思って「それなら辞める」と言ったら妥当な値まで下がり2人で乗る事にしたけれど、それでも宿を紹介すると駆け引きは最後の降りるまで続いていた。
そんなリキシャでも良いところがあって、バラナシを一望できるガンガー(ガンジス河)にかかった橋の上で止まってくれた。そこからの眺めは最高で、とうとう憧れの地に来てしまったんだぁという気持ちでいっぱいだった。カメラも取り出せないくらいに。
バラナシはガンガーのほとりに安宿が集まっているんだけれど、リキシャも入れない迷路が広がっていた。リキシャから下ろされて適当に歩いていたらやはり迷ってしまい、なんとかガンガーに出たときは感激。ちょうど沐浴するガートに出て、その広さを実感できた。でも暑い。かなり中心部より下流に出てしまったみたいで東京の子は上流へ向かったのに、自分は腹も減ってクタクタで、すぐ近くのレストラン付の宿を見つけてチェックインしてしまった。「地球の歩き方」にも載っていない「MishraGuestHouse」というホテルは、静かなところで屋上レストランからはガンガーが望める。部屋も550ルピー(1100円くらい)と少し高めだけれど、窓からもガンガーが望める最高な環境が気に入った。
部屋を確保してからは、早速屋上にあるレストランで朝食をとる。レストランといっても粗末なテーブルとイスと屋根があるだけなんだけれど、いかにもアジアの安宿っぽくて気に入った。フレンチトーストにマンゴーラッシーを注文して先客のオーストラリア人と話していたら、「1ヶ月この宿に滞在しているのに日本人は初めてだ」と言う。そんなに外れに来てしまったのかと不安になるも、宿泊客も従業員もフレンドリーでいい宿を見つけられたなと昨日までの憂鬱な気分が晴れていった。
食後は部屋で一眠りしてから、現金がなくなってきて従業員にATMまで連れてってもらった。繁華街への方向はわかっても迷路になった道を歩いていく自信はなかったし、リキシャなんか入ってこられる道でもない。そして歩き始めたら2ターンくらいで方向感覚が無くなっていった。しかも細い路地には牛やら自転車が突っ込んできて、人の渋滞なんかしばしば。牛の糞を踏む事なんて慣れてしまった。そして従業員を必死に追うこと20分で大通りに出たら、そこはバイクやらリキシャやらが行き交う未舗装の道路で埃っぽく騒然としていた。別世界みたいに。
無事に現金を引き下ろすことができ、ここからは自転車リキシャで安宿や土産物屋が集まるメイン・ガードまで行けるという。帰りが不安になったけれど、ガンガー沿いに歩けば宿に帰れるだろうと従業員と別れた。メイン・ガードはダシャーシュワメード・ガードといい、バラナシのガンガーでは中心部となるところ。まずはガンガーまで降りてみたらさすがに中心部だけあって、あちこちから客引きが集まってきた。適当にあしらうもその数が半端なく、昼下がりの暑さもあって早々にレストランに逃げ込んだ。今日は太陽が直に射していて40度くらいはあろうかという暑さで、ここでもコーラを飲みアイスコーヒーを飲み脱水寸前の体を潤す。それからは街中を見て回って、土産物屋を物色したりネット屋でネットをやったり、気がついたら夕方になって過ごしやすくなっていた。
そろそろ宿に帰ろうとガンガーに出て下流に向けてゆっくり歩き始めたら、途中にマニカルニカー・ガートと呼ばれる火葬場があった。僧侶と子供以外はここで焼かれて、その灰をガンガーに流して海へと注ぎ、天へと戻る。その事自体は知っていたけれど、実際に目の前にすると衝撃的だった。人を焼くために積み上げられた丸太の山があり、焼かれ始めたばかりでまだ生身の体が横たわっていて、夕方だから焼く炎が赤々として、もうこの場には居られないほどに身震えがして、早々に立ち去ってしまった。これこそが聖地なんだと納得しながら…。
その火葬場から宿まではすぐ近くで無事に着いたんだけれど、凄いところに泊まっているんだと思った。改めて景色を確認すると、夜になっても煙が出ている所が目の前にあり、そこが火葬場だった。その煙を見ながらビールを飲むっていうのも何だかなぁと思っていたけれど、泊まっているオーストラリア人やドイツ人たちと話ながら飲むのは楽しかった。偶然にもみんな30代で、自分以外は1ヶ月以上の旅をしているというから羨ましい限り。突然のスコールで雨が降り込んだり停電になっても誰も帰ろうとはせずに、時には話したり時にはそれぞれ本を読んだり、そんな空間が旅ならではで心地よかった。気がつけばみんな堂々とハッパを吸っていて、その匂いがネパールを思い出させてくれた。
昨日までとは全く違った旅スタイルになり、心地よい酔いですぐに眠りにつくことができた。

◆宿の屋上レストランより                         


◆部屋からの眺め                             
◆ガンガーを歩く                             





◆宿からガンガーへ下る道