seigoy's diary

旅人間。山やスキー場、京都、アジア中心に彷徨ってます。それに伴って、カメラや車、パソコンが大好き。

走れメロス

最近はまた本を読む時間が少ない。しかも長編も並行して読んでいるから一作品を読むのに時間がかかる。まぁ読む時間を作らない自分のせいなんだけど。

走れメロス (角川文庫)

走れメロス (角川文庫)


あまりにも有名な「走れメロス」の他に9編の作品が収められている。
「走れメロス」は改めて読んでみると、なるほど完成度が高いのに驚かされた。こんな短編で友情の素晴らしさを書けるなんて感動する。でもその反面、陰が多い太宰作品の中では異様といってもよく、裏には何があるんだろうと考えてしまった。
その他の作品も執筆活動が充実していた頃の作品のようでいいものが多い。「富嶽百景」や「八十八夜」、「老ハイデルベルヒ」などは東京を離れての出来事が綴られておもしろかった。お金がないのに東京から飛び出す姿勢に共感が持てる。
そして「東京八景」は若い頃の東京を振り返っている。自殺を何回か試みるも失敗しながら生きていく様はすごい。ボロボロだけどそれを書ける力はやっぱり人並みじゃないんだろう。
この1冊を読んでも太宰作品は、文章としても読みやすいし、作品も素晴らしいと思った。もっといろんな作品を読みたいなぁ。