seigoy's diary

旅人間。山やスキー場、京都、アジア中心に彷徨ってます。それに伴って、カメラや車、パソコンが大好き。

旅する力

旅する力―深夜特急ノート (新潮文庫)

旅する力―深夜特急ノート (新潮文庫)


20歳の頃に出会ってしまった『深夜特急』。アジアからヨーロッパまでバスで旅をするというノンフィクションに心を動かされた。そして、こんな旅を求め、22歳でタイ・ネパールへと旅立った。あれからもう14年かぁ…。


この『旅する力』は、『深夜特急』の旅とその前後の出来事や考えていたことが書かれている。沢木耕太郎がノンフィクション作家として誕生する過程や、『深夜特急』が本になるまでの過程など、実に興味深くて面白い。でもそれよりやばかったのが、影響されたのもあり考えていた事(いる事)がめちゃ同じで、『深夜特急』を読んで旅立った頃の自分がリアルによみがえってきてしまった。この1週間くらいは、もう頭が踊っているかのよう。昨日会った学生の頃からの友人には「今、やばい眼になってるよ。そんなの久々に見たなぁ。」って言われてしまったけれど、この本のせいかな。


まずは旅立つ前のこと。これは『あとがき』に書かれているんだけれど、
「どうしても行かなくてはならないのだろうか。別に行かなくてもいいのではないか。行かなくてもいい理由をいくつも数え上げるのだが、どれも決定的な理由ではない。そうこうしているうちに行くと決めていた日が近づいてきて、仕方なく出発するのだ。
 −参ったなあ。
 内心そう思ったりするが、誰を恨むでもなく、行くと決めた自分の、いわば自業自得なのだ。
 しかし、ひとたび出発してしまうと、それまでの逡巡は忘れてしまい、まっしぐらに旅の中に入っていってしまう。」
この文章を読んで、本当に泣けてきた。これらは今でも長旅(短くはなったけれど)に出るときは感じてることで、まさに自業自得で誰にも言えない。初の海外1人旅の時なんて、怖くて行きたくなくて、前日には友人を誘ってスキーへ行ってしまったくらい。そして夜中に帰ってきて、眠らずに準備をして旅立ってしまったなぁ。この文章で助けられてしまった。


あとは、旅の最中。
「危険だと分かっていても入って行き、どこまでが大丈夫だろうかと判断する。」やっぱり安全な範囲だけじゃ面白くないと、自分も思う。その判断のラインが分かってくると、いっそう面白くなってくるからやめられない。
「旅の最中は金銭簿とメモと手紙を書いた。」自分もいつまでだったか、小さなノートに行動記録や金銭簿を書いていた。手紙も初めての頃は毎日書いていたなぁ。いつやめてしまったのかと思い、胸が痛くなった。


などなど、共感し昔の記憶が洪水のように湧き出てきてしまった。
旅は、時に人生を変える。自分も大学時代は、身体の障害でいろんなものを諦めたりして、心がズタズタだった。でも、卒業旅行で初の海外1人旅へ行き、自信を取り戻し復活した。
今でも沢木耕太郎の、この言葉は心に浸みる。
「恐れずに。しかし、気をつけて」


昨日会った人たちには宣言してしまったんだけれど、また熱い旅がしたくなり、目的地も決定してしまった。
その前に『深夜特急』も読み直そうかな。
過去の旅も文章にしてみたくなったな。


その前にタイの旅ブログを仕上げないと…。


◆誰にも読めない昔の旅ノート