杯−緑の海へ−
- 作者: 沢木耕太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/04/25
- メディア: 文庫
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沢木耕太郎が日韓ワールドカップで日韓のスタジアムを駆け巡る観戦記。しかも沢木氏らしく移動を旅として楽しんでいる旅行記ともいえるから、より面白かった。さすがは沢木氏!!
2ヶ月にわたるワールドカップをソウルにアパートまで借りて各地を渡り歩き、トラブルに遭い、人に助けられ、それらがリアルに書かれているのはすごい。こんな風に書けたらなぁって思ってしまう。その中でもめちゃ共感できたのは…
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いつも、狙いどおりの旅ができるとは限らないのだ。仕方がない、と諦めることにした。そう、旅を続けていると、こうした「諦念(ていねん)」に近いものが身につくようになるものだ。
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サッカーの批評もまた良かった。無駄に選手を酷評するのではなく、頑張っている姿を大きく書いている。それでも日本代表の決勝トーナメントの消極的な姿は、酷評に値するかな。トルシエのせい?読んでいて2002年が蘇ってきた。ミスジャッジによる韓国の躍進、スパープレーはなかったのにブラジルの優勝、懐かしいなぁ。沢木氏曰く、「最高のもの」を見る楽しさがなかったという事に納得。
それでも日韓共催は日韓にとって良かったことを韓国で体感して終わっていくのも、また余韻があって味わい深かった。