seigoy's diary

旅人間。山やスキー場、京都、アジア中心に彷徨ってます。それに伴って、カメラや車、パソコンが大好き。

メモリーズ

メモリーズ (光文社文庫)

メモリーズ (光文社文庫)


『約束の地』で日本冒険小説協会大賞を受賞した樋口明雄。その小説がまだ文庫本になっていないから、この短編集を読んでみた。
表題作の『メモリーズ』は主人公がイワナと変わっている。でもその生態はリアルに書かれていて、主人公としての物語もじっくりと読むことが出来、最後には感動してしまう、実にいい物語だった。他にも『やえんぼう』『我が町は緑なりき』『天国への扉』は田舎や自然を舞台に、すごく現実的でもあり非現実的でもある不思議な物語がすごく良い。読み終えるのが惜しいくらいに。
他の『壁』と『阿佐ヶ谷ガード下物語』は打って変わって都会での物語。両方共に寂しさを感じさせられるけれど、内容が濃くて良かった。宝くじ3億円が当たった希望が見えたら、自分はどうする、どうなるだろうか?