蟹工船・党生活者

蟹工船・党生活者 (新潮文庫)

プロレタリア文学、更には小林多喜二というと、社会主義思想や昔の共産党が連想されて抵抗感があり、避けていた。
でも、いざ読んでみると凄い臨場感みたいなものがあって良かった。思想とかは別にしても、小説としてかなりいいと思う。
蟹工船は貧しい人たちを企業が雇い、過酷な労働をさせていく。その過酷な労働の描写にリアルさがあって、刻々と労働者の意識の変化や団結力が強まっていく様がよくわかる。また、その当時の時代背景、国と軍と裕福な企業との関わり合いとかも見えてきて良かった。
党生活者は、まさに共産党が地下組織で活動していた頃の生活がリアルに描かれている。小林多喜二自身もこの本を書いた後に、共産党員として捕まり拷問の上死んでいくのだから忠実なんだろう。企業の中へどのように潜り込んで、仲間を作り、活動を続けていくのか、その進行が興味深かった。その活動のために犠牲になる人たちの有様も印象的だった。