津軽
- 作者: 太宰治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/06
- メディア: 文庫
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戦時中に故郷を旅した旅行記。配給の酒をかき集めて飲みまくっている所や、竜飛岬周辺は軍事的理由で情景を書くことを控えている所など、戦時中の緊張感の中でも和んでいた。そして旅するといっても友人や親戚の家などを泊まり歩いて、行き当たりばったりのスタイルで親近感が湧く。こんな時代にこんな旅行記があったなんて感動した。
また、この本は旅行記だけで終わらず自分自身の生い立ちも振り返っているからすごい。実家に帰った所はあっさり書かれていて、友人や親戚のことを多く書いているから変に思っていると、後半になってその理由がわかる。そして、最後に乳母との再会の所は実に良く書かれていて泣けてきた。「心の平和」を得たことに。
先月のゴールデンウィークに津軽まで行ったとき、この本をまだ読んでいなかったことを後悔している。なので、来年の春にこの本を持ってまた津軽へ行きたいと思っている。